プロフィール写真の背景を白くしたい、商品写真から背景を消したい、という場面は思ったより頻繁にやってきますが、背景を消すだけの作業のために画像編集ソフトを立ち上げるのも大げさなので、たいていは無料のオンラインツールを探すことになります。
私がそこで引っかかったのは、見つかるツールがどれも「画像をサーバーへアップロードして処理する」形だったことでした。自分の顔写真や、まだ公開していない商品の写真を他社のサーバーへ渡すのは、無料だからといって気軽に決められる話ではありませんし、枚数の制限や、無料だと解像度が落ちるといった条件が付くものも少なくありません。
この記事では、私が作った Media Tools の背景除去を使って、画像をどこにも送らずに背景を透過する手順を説明します。処理はすべてブラウザーの中で行われるため、写真が端末から出ることはありません。
- 必要なもの: 背景を消したい画像と、ブラウザー
- 必要ないもの: アカウント登録、料金、アップロード、枚数の制限
アップロードしないとどう違うか
オンラインの背景除去ツールは、たいていサーバー側で処理します。そのほうがサーバーの性能をそのまま使えるぶん速く終わるのですが、引き換えにいくつかの制約が付いてきます。
一般的なクラウド型 | ブラウザー内で処理(本記事) | |
|---|---|---|
画像の送信 | サーバーへアップロードする | 端末から出ない |
枚数の制限 | 1 日あたりの上限があることが多い | なし |
解像度 | 無料だと下げられることがある | 元のまま |
初回の待ち時間 | ほぼ無し | AI モデルの取得が必要 |
処理の速さ | 速い | 端末の性能による |
ブラウザー内で処理する方式にも弱点はあります。初回だけ AI モデルをダウンロードする必要がありますし、処理の速さは使っている端末の性能にそのまま左右されるので、速さと引き換えに画像を渡さずに済む構図になっています。
私がこの方式を選んだのは、社外に出せない資料や顧客から預かった写真を扱う場面では、この差が決定的になると考えたからです。
2つのモデルの使い分け
背景除去では 2 種類の AI モデルを選べます。まず「人物」で試して、うまく抜けなければ「汎用」に切り替える、という順序で使うのが実際的です。
人物 | 汎用 | |
|---|---|---|
モデル | MODNet(25 MB) | BiRefNet_lite(100 MB) |
WebGPU | 不要 | 必須 |
900×1350 の写真での実測 | 16.4 秒 | 46.5 秒 |
向いている被写体 | 人物、毛や髪のある被写体 | 車や建物のような硬い輪郭 |
名前のとおり「人物」は人物向けに作られたモデルですが、人物以外でも意外と通用します。この記事のために芝生に座った犬の写真で試したところ、毛の輪郭まで自然に抜けました。同じ写真を「汎用」でも処理してみると、こちらは胸元の白い毛が一部欠けたうえ、時間は 3 倍近くかかっています。
つまり「人物以外は必ず汎用」とは言い切れません。私は速くて WebGPU も要らない「人物」から試し、結果に納得できないときだけ「汎用」を使うようにしています。
人物モデルから試す理由
処理が速いうえにWebGPU に対応していない端末でも動くのが大きな利点で、モデルも 25 MB と小さいため初回の待ち時間はほとんどありませんし、髪の毛や動物の毛のように輪郭が細かく分かれる被写体を得意としています。
汎用モデルに切り替える場面
人物モデルで輪郭が崩れたときに試す価値があり、車、建物、工業製品のように輪郭がはっきりした被写体では、こちらのほうが安定する傾向にあります。
ただし汎用モデルには条件があり、WebGPU に対応した環境でなければ動きません。1024×1024 の解像度で処理するぶんメモリを多く使うためで、対応していない端末では「人物」だけが使える状態になります。実測でも処理時間は人物モデルの 3 倍近くかかりました。
切り抜く手順

写真の背景を AI で自動的に取り除き、透過 PNG や好きな背景色で保存する無料ツール。人物向け(MODNet)と汎用(BiRefNet)の 2 モデルを切り替え可能。ブラウザ内で推論するため写真は送信されません。
- 背景除去のページをブラウザーで開きます。
- 画像をドラッグ&ドロップします。
- 「被写体」で「人物」か「汎用」を選びます。
- 「背景」を決めます。透明のままにするか、白などの色で塗りつぶすかを選べます。
- 実行すると、背景が抜けた画像が書き出されます。
初回だけ AI モデルのダウンロードが入り、人物モデルは 25 MB、汎用モデルは 100 MB です。2 回目からはブラウザーに保存されたものが使われるので、待ち時間は発生しません。
この記事の実測は、内蔵 GPU(Radeon 780M)を積んだマシンの Chromium で、900×1350 の写真を処理したときのものです。モデルの取得を含んだ時間なので、2 回目以降はこれより短くなりますし、専用の GPU を積んだ環境ならさらに速く終わります。
うまく抜けないときの直し方
AI が自動で判断する以上、どうしても微調整が必要になる場面は出てきます。背景と被写体の色が近いときや、細かい部分の多い被写体では、輪郭が思ったとおりにならないことがあると考えて、私は最初から手で直せる仕組みを用意しておくことにしました。
用意したのは、自動処理の結果に対して次のような操作ができる編集機能になります。
- 範囲を指定して、その中だけを対象にする
- フリーハンドで手動の切り抜きをする
- 消しすぎた部分を戻す、残ってしまった部分を消す
自動でおおかた抜けてさえいれば、あとは残った部分をブラシで整えるだけで済むので、最初から手作業で切り抜いていくのとは、かかる時間がまるで違ってきます。
保存形式と背景色
透過を保てるのは PNG と WebP だけです。JPG には透明という情報を持つ仕組みがそもそも無いため、JPG を選んだ場合は背景色で塗りつぶした画像として書き出されます。
用途 | 形式 | 背景 |
|---|---|---|
資料やスライドに重ねる | PNG | 透明のまま |
Web サイトに載せる | WebP | 透明のまま |
証明写真として提出する | JPG | 白で塗りつぶす |
証明写真の背景を白にしたい場合は、「背景」で白を選んでから JPG で保存すれば、そのまま使える画像になります。
よくある質問
写真はサーバーに送られますか?
送られません。AI モデルを初回にブラウザーへ取得したあとは、推論もお使いの端末で行います。画像そのものが通信に乗ることはありません。
無料で使えますか?
使えます。会員登録も必要ありませんし、処理できる枚数にも制限を設けていません。
証明写真の背景を白にできますか?
できます。「背景」で白を選べば透明部分が白で塗りつぶされた画像として保存でき、形式は JPG でも PNG でも構いません。
商品写真や動物にも使えますか?
使えます。まず「人物」で試して、輪郭が崩れるようなら「被写体」で「汎用」に切り替えてください。
スマートフォンでも使えますか?
人物モデルなら動きます。汎用モデルは WebGPU が必要なため端末によっては使えませんが、その場合は「人物」を選んでください。
透過した画像はどこでも使えますか?
PNG や WebP として保存すれば透明の情報は保たれますが、貼り付ける先が透過に対応していない場合は白や黒で埋まります。古いソフトや一部のサービスでは起こりうるので、貼り付けた結果を確認してください。
まとめ
背景を透過するのに、画像をどこかへアップロードする必要はありません。ブラウザーの中で AI を動かせば、写真を端末に置いたまま切り抜けます。
- まず「人物」で試し、うまく抜けなければ「汎用」に切り替える
- 汎用モデルは WebGPU が必要で、処理時間も人物モデルの 3 倍近くかかる
- 自動で抜けきらない部分は、範囲指定とブラシで手直しできる
- 透過を保てるのは PNG と WebP。JPG は背景色で塗りつぶされる

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