プロフィール写真の背景を白くしたい、商品写真から背景を消したい、という場面はよくありますが、背景を消すだけの作業のために画像編集ソフトを立ち上げるのも大げさなので、たいていは無料のオンラインツールを探すことになります。
私がそこで引っかかったのは、見つかるツールがどれも「画像をサーバーへアップロードして処理する」形だったことでした。自分の顔写真や、まだ公開していない商品の写真を他社のサーバーへ渡すのは、無料だからといって気軽に決められる話ではありませんし、枚数の制限や、無料だと解像度が落ちるといった条件があるものも少なくありません。
この記事では、私が作った「Media Tools」の背景除去を使って、画像をどこにも送らずに背景を透過する手順を説明します。処理はすべてブラウザーの中で行われるため、写真が端末から出ることはありません。
この記事でわかること
- 無料の背景透過ツールにある制限
- 被写体に合わせたモデルの選び方
- 背景を切り抜く手順
- うまく抜けないときの直し方
- 保存形式と背景色の選び方
背景を消したい画像と、ブラウザーがあれば始められます。アカウント登録や画像のアップロードをしなくても、枚数の制限なしに無料で使えます。
無料枠の制限と、無料枠が無くなる場合
無料をうたうサービスでも、条件を読むと制限は 3 種類のいずれかに分類できます。私が 2026 年 9 月に各社の料金ページと公式ヘルプで確認した範囲では、次のようになっていました。
制限の種類 | 確認した例(2026 年 9 月時点) | 困る場面 |
|---|---|---|
枚数・回数の上限 | 「Adobe Firefly」は無料だと 1 日の生成回数に上限があり、「Pixelcut」の無料プランは背景除去が「制限付き」と明記されている | 商品写真を数十枚まとめて処理したいとき |
解像度の上限 | 「remove.bg」の無料枠はプレビュー画質(0.25 メガピクセル、625×400 程度)までで、元の解像度で保存するには 1 枚 1 クレジットが必要 | 印刷や EC の商品画像など、元のサイズが必要なとき |
登録・有料プランのみ | 「Adobe Firefly」は無料でも Adobe アカウントが必須。「Canva」の背景リムーバーは有料プランに含まれる機能 | 1 枚だけ処理したいのに登録から始まるとき |
この 3 つに加えて、無料枠そのものが無くなる場合があります。背景透過サイトの「remove.bg」は、2026 年 12 月 1 日 9 時(中央ヨーロッパ時間)に単体サイトの提供を終えて「Canva」へ統合されると公式に発表しました。同じ時刻以降は単体サイトとアカウントにアクセスできなくなり、未使用のクレジットも失効し、API は「Leonardo.Ai」へ、Photoshop 用プラグインやデスクトップアプリは提供終了になります。
私がここで問題だと考えているのは、サービスの終了そのものではなく、移行先の Canva では背景リムーバーが有料プランの機能として案内されている点です。Canva のヘルプセンターには「Background remover is included with paid plans」と書かれており、remove.bg でプレビュー画質を無料で使っていた層は、移行しても同じ使い方ができません。
アップロードしないとどう違うか
オンラインの背景除去ツールは、たいていサーバー側で処理します。そのほうがサーバーの性能をそのまま使えるぶん速く終わるのですが、引き換えにいくつかの制約があります。
一般的なクラウド型 | ブラウザー内で処理(本記事) | |
|---|---|---|
画像の送信 | サーバーへアップロードする | 端末から出ない |
枚数の制限 | 1 日あたりの上限があるものもある | なし |
解像度 | 無料だと下げられることがある | 元のまま |
初回の待ち時間 | ほぼ無し | AI モデルの取得が必要 |
処理の速さ | 速い | 端末の性能による |
ブラウザー内で処理する方式にも弱点はあります。初回だけ AI モデルをダウンロードする必要がありますし、処理の速さも使っている端末の性能にそのまま左右されます。その代わりに、画像を外部に渡さずに済みます。
私がこの方式を選んだのは、社外に出せない資料や顧客から預かった写真を扱う場面では、この差が決定的になると考えたからです。
乗り換えるときに私が最初に確認するのは「サーバーへの送信が発生するかどうか」です。枚数や解像度の上限は課金すれば外れますが、外部への送信の有無は方式そのものの違いなので、後から変えられません。一方で、Media Tools の背景除去は API や Photoshop 用のプラグインを提供していないので、プログラムからの自動処理が必要な場面では、有料の API を使うほうが早いと考えています。私はそれを承知のうえで、「データを外部に送信しない・無制限・登録不要」の 3 つを優先しました。
2 つのモデルの使い分け
背景除去では 2 種類の AI モデルを選べます。まず「人物」で試して、うまく抜けなければ「汎用」に切り替える、という順序で使うのが実際的です。
人物 | 汎用 | |
|---|---|---|
モデル | MODNet(25 MB) | BiRefNet_lite(100 MB) |
WebGPU(ブラウザーから GPU を使う仕組み) | 不要 | 必須 |
900×1350 の写真での実測 | 16.4 秒 | 46.5 秒 |
向いている被写体 | 人物、毛や髪のある被写体 | 車や建物のような硬い輪郭 |
名前のとおり「人物」は人物向けに作られたモデルですが、人物以外でも意外と通用します。この記事のために芝生に座った犬の写真で試したところ、毛の輪郭まで自然に抜けました。同じ写真を「汎用」でも処理してみると、こちらは胸元の白い毛が一部欠けたうえ、時間は 3 倍近くかかっています。
つまり「人物以外は必ず汎用」とは言い切れません。私は「人物」から試し、結果に納得できないときだけ「汎用」を使うようにしています。
人物モデルから試す理由
処理が速いうえに WebGPU に対応していない端末でも動くのが大きな利点で、モデルも 25 MB と汎用モデル(100 MB)の 4 分の 1 で済みます。髪の毛や動物の毛のように輪郭が細かく分かれる被写体にも向いています。
汎用モデルに切り替える場面
人物モデルで輪郭が崩れたときに試す価値があり、車、建物、工業製品のように輪郭がはっきりした被写体では、こちらのほうが安定する傾向にあります。
ただし汎用モデルには条件があり、WebGPU に対応した環境でなければ動きません。1024×1024 の解像度で処理するぶん多くのメモリを使い、WebGPU を使わない方式ではそのメモリが足りなくなるためです。WebGPU に対応していない端末では「人物」だけが使える状態になります。
切り抜く手順

写真の背景を AI で自動的に取り除き、透過 PNG や好きな背景色で保存する無料ツール。人物向け(MODNet)と汎用(BiRefNet)の 2 モデルを切り替え可能。ブラウザ内で推論するため写真は送信されません。
- 背景除去のページをブラウザーで開きます。
- 画像をドラッグ&ドロップします。
- 「被写体」で「人物」か「汎用」を選びます。
- 「背景」を決めます。透明のままにするか、白などの色で塗りつぶすかを選べます。
- 実行すると、背景が抜けた画像が書き出されます。
初回だけ AI モデルのダウンロードが必要で、人物モデルは 25 MB、汎用モデルは 100 MB です。2 回目からはブラウザーに保存されたものが使われるので、待ち時間は発生しません。
この記事の実測は、内蔵 GPU(Radeon 780M)搭載の PC で、Chromium を使って 900×1350 の写真を処理したときのものです。モデルの取得を含んだ時間なので、2 回目以降はこれより短くなり、専用の GPU を搭載した環境ではさらに速く終わると考えられます。
うまく抜けないときの直し方
切り抜く範囲を AI が自動で判定する以上、どうしても微調整が必要になる場面は出てきます。背景と被写体の色が近いときや、細かい部分の多い被写体では、輪郭が思ったとおりにならないことがあると考えて、私は最初から手で直せる仕組みを用意しておくことにしました。
用意したのは、自動処理の結果に対して次のような操作ができる編集機能になります。
- 範囲を指定して、その中だけを対象にする
- フリーハンドで手動の切り抜きをする
- 消しすぎた部分を戻す、残ってしまった部分を消す
自動でおおかた抜けてさえいれば、あとは残った部分をブラシで整えるだけなので、最初から手作業で切り抜くより短い時間で済みます。
保存形式と背景色
透過を保てるのは PNG と WebP だけです。JPG には透明という情報を持つ仕組みがそもそも無いため、JPG を選んだ場合は背景色で塗りつぶした画像として書き出されます。
用途 | 形式 | 背景 |
|---|---|---|
資料やスライドに重ねる | PNG | 透明のまま |
Web サイトに載せる | WebP | 透明のまま |
証明写真として提出する | JPG | 白で塗りつぶす |
証明写真の背景を白にしたい場合は、「背景」で白を選んでから JPG で保存します。
よくある質問
写真はサーバーに送られますか?
送られません。初回に AI モデルをブラウザーへ取得したあとは、処理がお使いの端末の中で完結するので、画像が端末の外へ出ることはありません。モデルの取得のほかに、Media Tools は処理の統計(使ったツールと設定、端末の性能など)をサイトのサーバーへ送信していますが、画像そのもの、ファイル名、IP アドレスは含みません。この送信は、ページ下部の「サービス品質向上へのご協力のお願い」にある「処理の統計を送る」のスイッチで止められます。
無料で使えますか?
使えます。会員登録も必要ありませんし、処理できる枚数にも解像度にも上限を設けていません。処理が端末側で行われるため、枚数で課金する理由がないからです。
remove.bg の代わりに使えますか?
使えます。remove.bg は 2026 年 12 月 1 日に単体サイトを終了し、移行先の Canva では背景リムーバーが有料プランの機能です(2026 年 9 月時点)。Media Tools の背景除去は無料・無制限・登録不要のままで、人物と汎用の 2 モデルを選べます。ただし API と Photoshop プラグインはありません。
証明写真の背景を白にできますか?
できます。「背景」で白を選べば透明部分が白で塗りつぶされた画像として保存でき、形式は JPG でも PNG でも構いません。
商品写真や動物にも使えますか?
使えます。まず「人物」で試して、輪郭が崩れるようなら「被写体」で「汎用」に切り替えてください。
スマートフォンでも使えますか?
人物モデルなら動きます。汎用モデルは WebGPU が必要なため端末によっては使えませんが、その場合は「人物」を選んでください。
透過した画像はどこでも使えますか?
PNG や WebP として保存すれば透明の情報は保たれますが、貼り付ける先が透過に対応していない場合は白や黒で埋まります。古いソフトや一部のサービスでは起こりうるので、貼り付けた結果を確認してください。
まとめ
背景を透過するのに、画像をどこかへアップロードする必要はありません。ブラウザーの中で AI を動かせば、写真を端末に置いたまま切り抜けます。
- まず「人物」で試し、うまく抜けなければ「汎用」に切り替える
- 汎用モデルは WebGPU が必要。モデルの取得を含む初回は人物モデルの 3 倍近くかかる
- 自動で抜けきらない部分は、範囲指定とブラシで手直しできる
- 透過を保てるのは PNG と WebP。JPG は背景色で塗りつぶされる
- remove.bg の単体サイトは 2026 年 12 月 1 日に終了し、移行先の Canva では背景リムーバーが有料プランの機能(2026 年 9 月時点)
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